美学・哲学・悪魔学・詩集


by novalis666
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

〈意識〉の悪魔コロンゾンVS「わたしは真悟」の〈童心〉の奇蹟

 さて、西欧高等魔術では、しばしば〈深淵〉を飛び越えるということを言う。

 そう、333の恐るべき魔数で呼ばれる混乱と離散、すなわちバベルの塔の悪魔コロンゾン、かの深淵の孤児=デミウルゴス・ヤルダバオトの閉域である黒き鉄の牢獄を突破するために、人は〈深淵〉の門を跳躍によって飛び越えねばならない。

 333ノテッペンカラトビウツレ(楳図かずお『わたしは真悟』)

 コロンゾンというのは、ジョン・ディー博士が発見したという宇宙の形而上学的悪の原理の名前であり、サタンなどよりもはるかに恐ろしい真の意味での大魔王であるという。その名前は、アレイスター・クロウリーによれば、混乱と離散、すなわちヘブライ語におけるバベルの意味に同じであるが、〈混乱し滅茶苦茶にされた意識〉を表すのだそうだ。

 このシンボリズムは物々しいが、言ってることは明晰だ。ここでも哲学者がサボっている問題を魔術師たちが解明していたというわけだ。コロンゾンの正体はつまり〈意識〉である。そして〈意識〉がその限界である〈深淵〉の虚無を塞ぎ、それを人から隠そうとするのは、それが〈意識〉自体の不可能性の核心にあるからだ。

 ここがロードス島だ。ここで跳べ!



 たぶん天才楳図はコロンゾンの数値が333であるという魔術的知識を踏まえて、あのさとるとまりんの暗闇の中への「命がけの跳躍」のシーンを描いている。
 つまりあの東京タワーは形而上学的バベルの塔だったというわけ。

 いつも思うんだけど、ほんとにとんでもない人だ。

 シンゴは埴谷の〈虚体〉だし、あろうことか九鬼周造を連想させる「九鬼」なんて滅多にありそうにない名字の人物までわざわざ登場させてるし。
 この人、きっと何もかも分かっているのじゃないかと畏ろしくなる。

 名前もウメズだしなー。ひょっとして神様? 神の使い? それも艮の金神の。
 「三千世界一度に開く梅の花、艮の金神の世になりてぞよ」って奴? 
 ウメズというのは「梅図」の意、つまり戦前大本教を導いた九鬼文書起源の鬼神〈艮の金神〉の意図
という意味での〈梅の図式〉のことではないかい?

。。などと勝手に妄想的に畏怖する人間である僕であった。 

 ところで、魔王コロンゾンの名前は、もともとギリシア語らしい。
 で、欧米ではChoronzonと一般的には書かれる(たぶん、ジョン・ディー博士もそう書いたに違いない)。
 僕はXoronzonと表記する方を好む。
 Chで転字されてるのはギリシア文字のχ(キー、カイ)で、ラテン文字のXに該当する。
 趣味でカバラ(花薔薇なんてシャレた宛字を使うが)を多少いじくるが、僕の個人研究からいっても、そうする方が何かと魔術的には明晰かつ強壮なようだ。
 まさにバッテンとも十字架ともみえるXの文字こそ、この形而上学的大悪魔の頭文字にはふさわしい。
 また、タロットカードの「戦車」の札に該当するヘブライアルファベットにケト(僕はこれを或る理由から「計都」と宛字する)というのがある。
 これもギリシア文字のχに大体該当するので、あっちの魔術師さんたちはこれをChで音写してしまう。
 でも、元が一文字であるものを二つの文字で表すのはゲマトリアなんかいじくるときに非常に不便なので、僕はこれもXにしてしまっている。


 なんだか今回はとりとめもないが、大悪魔Xoronzonに関してはまだまだ多く語るべきことがあるので、いずれまた。
[PR]
by novalis666 | 2005-02-09 02:30 | 悪魔学